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犯罪被害者の損害賠償命令申立制度

2020-12-15

弁護士 須井 康雄

 犯罪被害にあわれた方は,刑事手続のなかで,損害賠償命令の申立てができます(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律,以下「犯罪被害者保護法」といいます。)。

この制度は,(1)別途,民事裁判を起こす負担がない点,(2)刑事事件の証拠が利用できるので,犯罪行為に関する立証の負担も少なくて済む点,(3)裁判所に納める印紙代が損害額にかかわらず2000円で済む点,(4)時効期間の進行を止められる点,(5)非公開の審理が可能な点で,犯罪被害者の方の損害の回復に役立つ制度です。

ただし,この制度が使えるのは,①故意の犯罪行為により人を死傷させた犯罪,②強制わいせつ,強姦,準強制わいせつ,準強姦,③逮捕監禁,④略取誘拐,人身売買,⑤前記②~④の犯罪行為を含む犯罪,⑥これらの未遂罪の被害にあわれた方に限られます(被害者保護法23条1項)。

申立は,地方裁判所での被告事件の弁論が終わるまでに,申立書を裁判所に出さなければなりません(犯罪被害者保護法23条1項)。弁論のスケジュールや担当裁判所は担当の検察官に確認すれば教えてもらうことができます。

損害賠償命令に関する審理は,被告人に対する有罪判決後,始まります。原則として4回以内に審理を終えます(犯罪被害者保護法30条3項)。4回以内に審理を終えられない場合,民事裁判に移行します。その際,請求額に応じて決まる印紙代との差額を納めなければなりません。移行後は,通常の民事裁判の手続で審理されます。

損害賠償命令が出された場合,送達又は告知を受けた日から2週間以内に適法な異議がなければ,確定判決と同一の効力を持ち,時効期間が10年に延長され,強制執行ができるようになります。適法な異議があれば,民事裁判に移行します。

このように損害賠償命令制度は,犯罪被害者の方の損害の回復を容易にする制度です。しかし,ご自身で対応される場合,相当な心理的負担を伴うことがあります。損害賠償命令制度のご利用をお考えの方は,弁護士にご相談ください。

カテゴリー: 刑事 

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