会社の嫌がらせには負けない!!
2013-07-28
会社の嫌がらせには負けない!!
弁護士 杉島幸生
2013年6月28日、神戸地方裁判所で、ある運送会社に対して顛末書の書き直しを何回も命じられた2人の労働者に対して損害賠償を支払うようにとの判決が出されました。この事件を労働者側で担当しましたので、報告します。
一人が起こしたのは、暗がりの中ローリー車から降りようとしたところ足下が確認できず捻挫をしたという労災事故。もう一人の事故は、高圧タンクに液化ガスを注入し終わり帰社したときにタンクの不調で安全弁が作動したことに対して、それとは無関係な操作ミスをとりあげてのことでした。
二人はすぐに顛末書を作成して提出しましたが、社長はそれを認めず、真摯な謝罪がない、署名は手書きで、事故の発生が自分の責任であることを書き込めなどと、数回にわたり書き直しを命じました。
社長のしつこさにうち一人は営業所長に相談して、所長の指示で書き直したにもかかわらず、やはり書き直しとなりました。この二人は、この数年会社が強行してきた一時金の切り下げを始めとする労働条件の引き下げに反対してきた労働組合の役員でした。
社長は、これまでも自分に反対する労働者に対して多くの嫌がらせをしていました。
二人の訴訟は、そうした嫌がらせを断ち切るためのものだったのです。
一見無意味とも思える作業を繰り返し強制することで抵抗する気力を奪っていくというを手法は、今、巷にあふれています。
本件は、そうした使用者の手法が、場合によっては違法となることを明らかにした点で大いに活用できそうです。
カテゴリー: 労働