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2018年は憲法を守るための正念場

2018-01-15

2018年は憲法を守るための正念場

弁護士松本七哉

2017年10月に実施された衆議院の総選挙で、民進党の解党騒ぎもあり、衆議院の議席の八割以上を改憲勢力が占め、憲法改正の発議が現実味を帯びてきました。この総選挙では、自民党が初めて、具体的な改憲内容を公約に掲げました。2019年7月に参議院選挙があり、この選挙で、改憲勢力が3分の2以上を確保できる保障はありませんので、安倍首相は必ずそれまでの間に、改憲の発議をしてくるものと思われます。憲法が生まれて70年以上が経過しましたが、いよいよ、初めて本当に憲法改正の発議が行われ、憲法をめぐる大きなたたかいが迫ってくるのです。
自民党が、この総選挙で掲げた改憲条項は四点ですが、特に九条の改憲と、緊急事態条項には注意をする必要があります。九条に関しては、2017年5月3日の憲法記念日に、安倍首相は、九条一項と二項を残したまま、これに自衛隊を合憲とする条項を加憲するという考えを打ち出しました。「自衛のためであれ戦力は持たないのだ、自衛隊は違憲だ」との考えからは、自衛のための戦力を認めるということは、九条の精神を大きく後退させるものとなります。しかし、九条は、日本の防衛のためにだけの自衛隊は許容しているという考え(これを専守防衛といいます。戦争法ができるまでの日本政府の見解です)からは、このような加憲は、それまでの考え方を確認するだけで、問題がないようにも思えます。
他方で、2015年9月に、戦争法が成立しました。これは、集団的自衛権の名の下に、アメリカが起こす戦争に、自衛隊が参戦する等の内容を含んでいます。明らかに専守防衛の範囲を超えていて、従来の日本政府の考え方からすると違憲となります。この戦争法が成立している以上、安倍首相は、これを合憲と解釈できるような改憲案を提出してくるに決まっています。すなわち、今度、史上初めて提起される憲法改正の発議の内容は、例えば中東でアメリカが起こした戦争に、自衛隊が参戦することを憲法上も容認するように解釈できる条項であると考えられるのです。
この憲法改正は、普通に自衛隊が、世界のどこでもアメリカと一緒になって戦争ができるようにするためのものであると考えられます。
今後1年半、戦後70年で初めて、現実に憲法を改悪するか否かの憲法をめぐる熾烈なたたかいが待ち受けています。憲法を守るたたかいの総決算の年の始まりです。まずは、発議をさせないたたかいをつくる必要があります。

カテゴリー: 平和 

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