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ブラック奨学金にご用心

2018-02-05

ブラック奨学金にご用心

弁護士 清水亮宏

現在、高校や大学の教育費の負担の問題が注目を集めていますが、この問題と切り離せないのが奨学金の問題です。
日本の奨学金の大半は貸与型です。これは海外でいう教育ローンを指し、実質的には借金です。現在、大学生の4割近くが貸与型奨学金を日本学生支援機構(JASSO)から借りている状況にありますが、返還に困っている社会人・保証人の声がニュースやSNS等で取り上げられています。
今や、非正社員が4割を占め、正社員であっても低賃金で長時間働かせるブラック企業に入社してしまうケースが見られます。返済の余裕がない若者に対し、奨学金の返済が重くのしかかり、結婚・出産・生活に影響が出てしまっているようです。これは、少子高齢化にもつながる問題です。
また、保証人への請求に関するトラブルもおきています。現在、奨学金を借りる際には、機関保証(保証機関が連帯保証する制度) に加入するか、人的保証(連帯保証人と保証人をそれぞれ選任すること)するかを求められるます。ここで保証人として選任されるのは、親やおじ・おば・兄弟などの親族です。本人の事情で返済が難しい場合には、保証人に請求がいくことになりますが、返済額が数百万円になっていることも珍しくありません。突然親族に数百万円の請求がいき、自己破産を選択せざるを得ないケース、親族関係に亀裂が生じてしまうケースが出てきています。
奨学金は若者の将来のための制度のはずです。若者が卒業後に借金地獄に苦しまないように、保証人との間でトラブルがないように、給付型の奨学金の拡大についてもっと議論すべき時期に来ているのではないでしょうか。
奨学金については、返還期限猶予、減額返還、返還免除などの制度がありますし、時効などの権利を主張することで、支払額を減らすことができるケースもあります。返済に困っている方は、一度、法律の専門家(特に奨学金に詳しい弁護士)に相談することをおすすめいたします。

カテゴリー: 消費者 

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