[労働]に関する記事
会社から突然「解雇する」と言われたら
A 会社から突然「解雇する」と言われました。どうしたらいいでしょうか?
Q 会社に解雇理由証明書の交付を請求するとともに弁護士に早急に相談してください。
会社に解雇理由証明書の交付を請求してください。
労働基準法は、解雇の予告をされた日から退職の日までの間であっても、労働者が解雇の理由に関する証明書を請求した場合、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならないと定めています。会社は、この解雇理由証明書の中で解雇理由を具体的に明示する必要があります。労働者の交付請求があるにもかかわらず、会社が解雇理由証明書を交付しない場合、労働基準法違反として労働基準監督署への通告対象になります。
同時に、弁護士に早急に相談してください。
時間が経てば経つほど、解雇を前提とした既成事実が積み重なってきたり、会社が後付けの解雇理由を作出したりして、ますます不利になります。早急に弁護士に相談してください。
IT/Web業界で働く人たちを対象とした労働相談会!
弁護士 清水亮宏
◆長時間労働・低賃金労働で悩んでいるPG/SEのための労働相談・キャリア相談会
12月4日(日)12時30分~20時30分
長時間労働・低賃金労働が深刻化しているIT業界の労働者(システムエンジニア、プログラマーなど)を対象に、労働相談・キャリア相談会が実施されることになりました。当日は、私弁護士清水亮宏も相談対応弁護士として参加する予定です。
長時間労働・低賃金・不安定な働かせ方で若者を使い潰す「ブラック企業」の問題が社会的関心を集めているところですが、IT/web業界は、ブラック企業が多い業界であると指摘されています。過労死ラインを超える長時間労働や低賃金労働に悩まされる労働者も多いと言われている業界です。
「働き方」は変えることができます!!
相談無料ですので!!「私の働き方、ブラックかも??」と思われた方は、ぜひチェックしてみてください!!
(なお、12月4日以外の相談受付けも行っています。)
◆予約ページ
https://trustring-osakaprgbar.connpass.com/event/44444/
真夜中の労働ホットライン
「真夜中の労働ホットライン」 弁護士 清水 亮宏
2016年10月上旬に報道された電通事件、同時期に厚労省から発表された過労死白書などを受け、過労死問題に対する社会的関心が高まっています。また、過労死そのもののみでなく、その背景にある過酷な長時間労働やパワハラなどの問題についても社会的関心が集まり、議論を呼んでいます。
このような情勢を受け、2016年11月4日21:00~26:00に、過労死の背景にある長時間労働・ハラスメントの問題に焦点を当てた「真夜中の労働ホットライン」を開催しました。東京との同時開催で、大阪では、民主法律協会とブラック企業被害対策弁護団の共催で行いました。。電通事件の衝撃から約1か月経過していましたが、過労死問題(特に長時間労働の問題)に対する社会的関心は高く、多くのメディアに事前告知や当日のホットラインの様子について報道いただきました。
11月4日当日は、相談が殺到し、21:00~26:00まで電話が鳴り続ける状態で、全体として38件の相談が寄せられました(東京の35件と合わせると合計73件)。相談内容としては、長時間労働(17件)、過密労働 (15件)、残業代不払い(13件)、労災(8件)、いじめ・差別・ハラスメント(8件)についての相談が多く寄せられました(複数回答です)。
あくまで確認できる範囲内のものですが、過労死ラインを超えていると疑われるものが16件あり、そのうち、残業時間が月120時間を超える危険な状態にあるものが6件ありました。また、20代、30代の若者からの相談が半数を占めている点も特徴的でした。若者が長時間労働で使い潰されている実態を読み取ることができます。
個別の内容を見ても、「朝から晩までの長時間労働」「休みたいけど休めない」「有給が取れない」「残業代が一切払われない」「固定残業代」「精神疾患を発症している」など、ブラック企業で見られる典型的な問題が多く含まれていました。
今回のホットラインは、過労死問題が社会的関心を集める中で行われたものです。個別の相談で終わらせるのではなく、得られた結果を元に、長時間労働やハラスメントの問題について社会に発信していきたいです。
朝日新聞で紹介されました:清水亮宏弁護士
朝日新聞2016年11月2日記事で、ブラック企業問題に取り組む清水亮宏弁護士が紹介されました。
ぜひご覧ください。
「労働法の基礎構造」西谷敏著を読んで
「労働法の基礎構造」西谷敏著 (法律文化社) 2016年6月刊
弁護士 河村 学
1 「書評」を引き受けたものの、読んで見るとやはり難しく、クチンスキーが出てきて、ラートブルフが出てくると、正直「辛いなあ」という感じだった。ただ、そこを遮二無二乗り越えて行くと、平たく言えば、「労働法って市民法とそんなに違うものなの?」(2章)、「労働法って民法の特別法なの?」(3章)、「労働法の理念って生存権なの?」(4章)など、根本的な議論が展開されている。その後、「労働法における公法と私法」(5章)という毛色の違う論考を挟んで、西谷先生の自己決定論とそれを下敷きにした「労働契約と労働者意思」(6章)がある。労働者の(自由)意思の問題は、有期労働契約の不更新条項の解釈など労働法の多くの論点に関わり、「労働者」「労働法」観が問われる極めて実践的な問題である。
2 ただ、読後感としては7章からが面白い。7章の「『労働者』の統一と分裂」では、有期労働・派遣労働・短時間労働・均等待遇の法政策の視点、管理職や多様な正社員をどう捉えるのか、労働者概念をどう考えるのかなど、表面に現れている基本的問題の考え方が述べられている。非正規労働のうち「実際に労働者自身が真に希望することがありうるのは短時間労働のみ」「日本の法制では、有期労働そのものが制約されないので、労働者の雇用生活の不安定性は解消されない」「労働者派遣という間接雇用の形態自体が労働者にとって有意味ということはない」など明快で、痛快でさえある。
労働者概念については、労組法と労働者保護法とで異なるだけでなく、労働者保護法内部でも異なり、例えば労基法上の各条項においても完全には一致しないとされる(西谷先生としては、指揮命令関係に関わる条項と、労働者の経済的地位に着目した条項に分け、その適用が異なる二種類の労働者として分類する立場を支持するようである)。さらには労働者概念に包摂されない労務提供者(非労働者)についても、「そうした存在を正面からとらえて保護・保障を与えることを考えるべき」とする。労働契約法との関係はあまり触れられていなかったが、賛否いろいろ考えさせる内容だった。
3 8章は「労働組合と法」。労働組合の(もっと広く労働法における)個人と集団の問題は西谷先生の自己決定論からも関心の高いテーマであると推察されるが、その到達点が簡潔に示されている。その結論部分は、「個人と集団が『自律にもとづく連帯』の形で結合しなければならない」ということである。労働組合の歴史的成り立ちや法的位置づけ、日本の組合状況なども概観してのこの考察は今後の労働組合運動の方向性を考える上でも重要である。「ユニオン・ショップにもとづく企業別組合に発展の展望を見出すのは容易でない」、「地域ユニオンには、…『連帯』の精神が育ちにくい」など論争的な言及もあり、明示はされていないが一つの方向性を示しているようにも読める。
4 9章から11章は労働法の解釈や裁判に関する問題である。学説の実務重視の風潮、利益衡量論の隆盛、労働判例の一貫した方法の欠如など、理論的・法的基礎を欠き、首尾一貫しない法解釈のあり方についての批判と考え方が述べられている。労働者保護規制の貧弱さ(労働法における立法の消極性)を補うという側面もあるが、最近の解釈のあり方として、一方では法律の形式的な解釈を貫き、他方では法律の文言を逸脱した目的論的解釈を行い、いずれも労働者保護を拒否する裁判例が続出している状況は「本当にひどいよな」と思ってしまう(p.283~292)。こうした判例・学説の現状、またこうした実務に振り回されている労働組合や労働弁護士の現状が、先生が本書を書かれた動機なのではないかとも思う。
5 元にもどって1章から6章は、こうした労働法をめぐる現状を踏まえて、「労働法の基礎構造を解明し、かつ労働法がいかに変わろうとも守らなければならない基本的な価値と原則を明らかにする」(はしがき)ために設けられた諸章といえる(特に4章と6章)。そう読めば、ラートブルフもまた重要なのかも知れない。
ブラック企業をなくすために-ブラック企業被害対策弁護団
ブラック企業をなくす取り組み
弁護士 清水 亮宏
1 日本社会に根強く残る「ブラック企業」
~労働者を「使い潰す」ことで利益をあげる「新しい労務管理」~
近年、労働者を使い潰す「ブラック企業」の問題が社会的に関心を集めています。自社が成長するための犠牲として、労働者を使い潰すことを前提に若者を大量に採用し、過酷な労働条件を押し付け、うつ病や自殺に追い込む企業が目立つようになっているのです。
①長時間労働、②パワーハラスメントで心と健康を壊され、③残業代の不払い、④退職強要で労働者の生活が脅かされています。その他にも、⑤退職させてもらえない、⑥有給休暇が取得できない、⑦労災隠しをするなど、問題は後を絶ちません。
このような実態を改善するため、2013年に、NPO・学者・弁護士などが参加するブラック企業被害対策プロジェクト、ブラック企業被害対策弁護団(団員約270名)が設立されました。私は、これら2つの団体に所属しています。
2 ブラック企業対策プロジェクトの取り組み
(1)社会に対する問題提起
プロジェクトでは、様々な問題について社会に問題提起しています。設立されてから、すき家のワンオペ問題、固定残業代に関する求人の問題をはじめ、最近では、学生が学生らしい生活を送れなくなる「ブラックバイト」の問題や、求人と実際の労働条件が異なる「求人詐欺」の問題について、問題提起しています。プロジェクトの共同代表の今野晴貴さんは、「ブラックバイト」「求人詐欺」を執筆しています。
(2)無料冊子の配布(http://bktp.org/downloads)
ブラック企業対策プロジェクトのホームページでは、「ブラック企業の見分け方」「内定・入社前後のトラブルと対処法」「ブラックバイトへの対処法」などの無料冊子がダウンロードできます。NPO・学者・弁護士が作成したもので、実践的で使える内容になっています。
(3)労働組合との連携
ブラックバイトユニオンやエステユニオン等の労働組合と連携して活動しています。最近では、ブラックバイトユニオンが、サンクスが賃金を15分単位で計算していた問題について、労働協約を締結し、改善させたことがニュースに取り上げられています。
3 ブラック企業被害対策弁護団の取り組み
弁護団では、プロジェクトと連携して、様々な問題について問題提起しているほか、事件相談、ホットラインの開催、残業代ゼロ法案に反対する街頭宣伝活動、シンポジウムの開催など、様々な活動を行っています。
若手の弁護士を中心に運営されているところが弁護団の特徴で、若者にも馴染みやすい面白い企画を行っています。「ブラック法案によろしく」(http://black-taisaku-bengodan.jp/burahou/)、「ブラックバイトを,辞めます」(http://black-taisaku-bengodan.jp/black-baito-yamemasu/)などの特設サイトはその一環です。ぜひ、覗いてみてください。
4 最後に
ブラック企業の被害に遭われた方の救済を通じて、ブラック企業をなくす取り組みを行って参りたいと考えております。当事務所にも、ご気軽にご相談ください。
大阪市の職員思想調査アンケートは憲法違反
思想調査アンケートは、やっぱり憲法違反だった
弁護士 杉島 幸生
2016年3月25日、大阪高裁第2民事部は、橋下徹元市長が大阪市の全職員を対象として実施した「アンケート」について、労働組合活動の権利や、個人のプライバシーを侵害する違法(憲法違反)なものであるとして、59名の原告に対しそれぞれ金5000円の支払いを命じる判決を下しました。これで橋下元市長は、この大阪高裁判決を含む4回の敗訴判決を受けたこととなります。
このアンケートが実施されたのは、2012年2月のことです。当時の橋下市長は、多くの市民から支持をうけたというだけではなく、マスコミからもまるで英雄のように持ち上げられ飛ぶ鳥を落とすような勢いでした。しかし、橋下元市長の手法は敵をつくりだしては、それを叩くことで人気をあげるというもので、このとき「敵」に選らばれたのが、大阪市の職員だったのです。大阪市の職員は、仕事もせずに組合活動や選挙活動ばかりしている、この調査は大阪市役所内のうみを出し切るためのもの、一見もっとな言い分のようですが、彼が実際にやったことは、労働活動に参加したことがあるのか、誘った人は誰なのか?、組合活動に加入しているかどうか、特定の政治家を応援する活動に参加したことがあるかどうか、そうした活動に誘ったのは誰か、などなど、橋下市長の強引な市政運営に反対しそうな人間をあぶり出し、圧力をかけようとするもので、組合活動の自由や政治活動の自由、思想良心の自由を侵すものだったのです。
今回、原告となった人たちは、市民のための大阪市役所をつくろうと奮闘してきた人たちばかりです。こうした人たちの取り組みを、市民を害するものと決めつけ排除の口実づくりとしようとしたのが、この「アンケート」でした。まさに「思想調査」だったのです。
今、国政の場面でも、「私が最高責任者だ」「私が決める」などと、憲法をないがしろにして省みようとしない政治家がはびこっています。こうした状況にもとで下された今回の判決の意義は、例え民意によって選ばれた政治家であっても、世論の支持があったとしても、してはならないことは、してはならない、という当然のことをあらためて確認したことにあります。憲法に反する政治が強行されようとするとき、それは違うと、声をあげる人がいなければ、憲法違反の現実がそのままつづくこととなります。憲法違反の現実を受け入れたくないのなら、私たちも声をあげつづけなればなりません。59名の原告の勇気がそのことを教えてくれているような気がします。
降格処分の無効を争う裁判で和解解決をしました
「降格処分の無効を争う裁判で和解解決をしました」
弁護士 喜 田 崇 之
【はじめに】
バスの運転手だったXさん(当時51歳)が、降格処分を受けて賃金が減額されるとともにバスの運転業務から外された事件で、訴訟提起の結果、バスの運転業務に戻る内容の和解を勝ち取りました。
【事案の概要】
原告Xさんは、2011年11月、会社内の呼気アルコール検査に反応し(前日夜のお酒が残っていたと思われる。)ために運転業務ができないことがあり、過去にも同じことが2回あったため、解雇処分を受けました。
Xさんは、解雇処分の無効をめぐってバス会社であるY会社と最高裁まで争いになり、最終的に、処分が不相当に重すぎるという理由で解雇が無効であることが確定しました。
しかし、Y社は、全く同じ事情を理由として、バスの運転業務から外す降格処分を下し、賃金も減額しました。裁判所の判断は、呼気アルコール検査に反応したことが3回目であることは懲戒事由に該当するが、解雇処分は重すぎるので無効であると判断していることから、Y社としては、解雇処分より軽い降格処分であれば有効であると判断したものでした。
しかし、Xさんは、バスの運転業務に付けなくなることに疑問を感じ、弁護士喜田がご相談にあずかり、降格処分の無効を求めて裁判所に提訴しました。
【裁判の進行】
我々は、Xさんがバスの運転手として優秀な実績を残してきたこと、過去のY社内の処分事例と比較してXさんへの処分が重いこと(重大な交通事故を起こした従業員ですら1~2年後にはバスの運転手として復職しているケースがほとんどであった。)、アルコール検査の反応が極めて軽微であること、賃金減額幅等が極めて大きいこと等から、降格処分は相当性を欠き、無効である旨を主張・立証しました。
XさんとY社の対立は激しいものでしたが、いよいよ証人尋問に入る直前に、裁判所が和解を勧告しました。
【裁判所の和解案】
和解交渉は難航を極めましたが、裁判所の尽力もあり、最終的には、Xさんが過去のアルコール検知の失敗を真摯に反省し、今後同様の事案を二度と起こさないことを誓約することを条件として、バス運転手として復職する内容の和解を勝ち取ることができました。
XさんがY社で勤務しながら裁判を続けられたのは、Xさんがバスの運転手に必ず復帰するという強い意志をもっていたことももちろんですが、労働組合の仲間がサポートしてくれたことも大きな支えになりました。
Xさんは、和解後、バスの運転手に戻りました。
【最後に】
裁判所が和解に尽力してくれたのも、また最終的にY社が和解を受け入れたのも、こちら側の主張・立証により、降格処分に問題があると判断させることに成功したからに他なりません。
私は、数多くの労働事件を扱ってきましたが、最初の解雇処分から何年にもわたって会社と裁判を続け、最終的に元の仕事に復職できた事例は数が少なく、本件は極めて画期的なケースであると思います。
労働事件を闘うには、やはり専門的な知識とノウハウが必要です。お困りの方は、ぜひ、ご相談下さい。
会社の嫌がらせには負けない!!
会社の嫌がらせには負けない!!
弁護士 杉島幸生
2013年6月28日、神戸地方裁判所で、ある運送会社に対して顛末書の書き直しを何回も命じられた2人の労働者に対して損害賠償を支払うようにとの判決が出されました。この事件を労働者側で担当しましたので、報告します。
一人が起こしたのは、暗がりの中ローリー車から降りようとしたところ足下が確認できず捻挫をしたという労災事故。もう一人の事故は、高圧タンクに液化ガスを注入し終わり帰社したときにタンクの不調で安全弁が作動したことに対して、それとは無関係な操作ミスをとりあげてのことでした。
二人はすぐに顛末書を作成して提出しましたが、社長はそれを認めず、真摯な謝罪がない、署名は手書きで、事故の発生が自分の責任であることを書き込めなどと、数回にわたり書き直しを命じました。
社長のしつこさにうち一人は営業所長に相談して、所長の指示で書き直したにもかかわらず、やはり書き直しとなりました。この二人は、この数年会社が強行してきた一時金の切り下げを始めとする労働条件の引き下げに反対してきた労働組合の役員でした。
社長は、これまでも自分に反対する労働者に対して多くの嫌がらせをしていました。
二人の訴訟は、そうした嫌がらせを断ち切るためのものだったのです。
一見無意味とも思える作業を繰り返し強制することで抵抗する気力を奪っていくというを手法は、今、巷にあふれています。
本件は、そうした使用者の手法が、場合によっては違法となることを明らかにした点で大いに活用できそうです。
介護労働者の労働条件の保障
介護の専門性を維持するためには介護労働者の労働条件の保障が必要
弁護士 河村学
1.平成21年度厚労省全国調査によると介護施設に入所できない待機者が42.1万人も存在しているのに対し厚労省は、「直ちに特養ホームに入所する必要のある人は4万人である」とし、現状に目をつむり、数字を操作して問題をなかったことにする手法が多く行われていると、河村弁護士は厚労省の姿勢を批判しました。東京の各地で待機児童問題に関して次々と異議申し立てが上がっていることを例にあげ、「これは市町村に保育実施責任があるからこそできる行動であり、介護施設ではどこにも何も言えない状況である。国・自治体の実施責任がないと最終的には利用者や介護労働者がしわ寄せの犠牲となる
2.家族の介護のために、2010年10月からの5年間では56万8千人(2007年・就業構造基本調査)が離職していると報道されている。在宅介護を強いられた結果、命にかかわる事件まで発生しているのに、“消費税に見合った範囲での社会保障改革”、“市町村が主体となる地域包括ケア計画で在宅介護の限界を高め、ボランティアなどの活用を推進”、“現世代の負担増・給付抑制、利用者本人負担の引き上げ”などだけが検討され、介護の質や、介護現場で起こっている問題に関してほとんど何も対策を考えていない
3.圧倒的に非正規労働者で、8~9割が女性であり、女性の低処遇は密接にかかわっている。離職率も高く、1年で30%採用され、21%が退職し、3年以内の離職率も高い。介護の仕事にやりがいを感じ、人の役に立ちたいと思っていても、非正規労働者の93.9%が時給で生活を維持するのが困難なために離職を選択せざるを得ない状況が多く生まれている」と実態を紹介しました。介護労働者の今後の運動として、労働組合でやるべき対応や労働契約締結での注意点などの具体例にも触れ、「介護労働者の労働条件を向上させるためには介護保険制度の運用改善とリンクさせ、労働組合と介護制度の改善をめざす諸団体と連携して運動することが重要となってくる。介護の専門性を維持するためには介護労働者の労働条件を保障することが必要であるという位置づけを行うことが大切である
自治労連介護関係労働者全国交流集会 講演