未成年の子による贈与(弁護士須井康雄)
2024-06-08
【未成年の子による贈与】
弁護士 須 井 康 雄
【質問】
現在17歳の息子が、祖父からもらった高額のカメラを友達にただであげる約束を、親に無断でしたのですが、そのような約束をしたことをとても後悔しています。どうしたらよいでしょうか。
【回答】
カメラをただであげるという合意は、贈与契約という法律行為です。
まず、贈与契約は、書面によらず、かつ、履行が終わっていない場合は、いつでも解除できます(民法550条)。口頭での約束で、カメラを渡す前であれば、贈与契約を解除できます。
次に、書面でしたり、カメラを引渡済みの場合でも、未成年者取消という制度を利用できます。未婚の未成年者が法律行為をするには、法定代理人である親権者の同意が必要です。親権者の同意を得ずに行った法律行為は取り消すことができます(民法4条)。
本件では、親に無断で約束したということですから、親権者が息子の法定代理人として、贈与契約を取り消すことができます。父母が親権者の場合は、連名で取り消します。未成年者本人も取消の意思表示ができます。
2022年4月1日以降、18歳が成人年齢となります。成人に達したのちは、息子さん本人が取消の意思表示をします。
取り消しできる期間は、親権者が未成年者の法律行為を知った時から5年間です。
贈与契約を解除又は取り消せば、相手方にカメラを引き渡す義務を免れることができます。すでに相手方にカメラを渡していれば、カメラの返還を求めることができます。