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相続財産に関する情報と個人情報【判例紹介】

2019-03-25

相続財産に関する情報と個人情報について、最高裁判所が初判例を示しました。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/528/088528_hanrei.pdf

事案の概要

個人情報保護法は、事業者が収集し保有する個人情報について、適正な取り扱いを確保する観点から、個人本人が自分の情報をチェックできるようにして、保有個人データの開示請求権、訂正請求権、利用停止請求権を規定しています。本件は、個人の死亡後に、その相続人が個人の相続財産に関する情報を個人情報保護法に基づき保有個人データの開示請求を行った事案です。

Aは、平成15年8月に、Y銀行で普通預金口座を開設し、銀行に印鑑届出書を提出した。印鑑届出書には、Aの自筆による住所、氏名、生年月日の記載と銀行印の印影がある。Aは、平成16年1月に死亡し、平成15年8月付の自筆証書遺言により、本件預金口座の預金のうち1億円だけを相続人Xに相続させた。相続人Xは、自筆証書遺言が偽造されたものではないかと疑念を抱き、それを確認する資料とするため、Y銀行に対し、Aが提出した印鑑届出書の写しの開示を求める訴訟を提起した。

最高裁の判断

個人情報保護法が,保有個人データの開示,訂正及び利用停止等を個人情報取扱事業者に対して請求することができる旨を定めているのは,個人情報取扱事業者による個人情報の適正な取扱いを確保し,個人の権利利益を保護する目的を達成しようとした趣旨と解される。このような個人情報保護法の趣旨目的に照らせば,ある情報が特定の個人に関するものとして個人情報保護法2条1項の個人情報に該当するかどうかは,当該情報の内容と当該個人との関係を個別に検討して判断すべきである。

したがって,相続財産についての情報が被相続人に関するものとして生前に個人情報に当たるものであったとしても,そのことから直ちに,当該情報が当該相続財産を取得した相続人等に関するものとして個人情報に当たるということはできない。

本件印鑑届出書にある銀行印の印影は,AがY銀行との銀行取引において使用するものとして届け出られたものであった,XがAの相続人等として本件預金口座に係る預金契約上の地位を取得したからといって,当該印影は,XとY銀行との銀行取引において使用されることとなるものではない。また,本件印鑑届出書にあるその他の記載も,XとY銀行との銀行取引に関するものとはいえない。その他,本件印鑑届出書の情報の内容がXに関するものであるというべき事情はうかがわれないから,上記情報がXに関するものとして個人情報に当たるということはできない。

 

カテゴリー: 民事 

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