交通事故(被害者死亡)の損害賠償請求訴訟で和解しました
「交通事故(被害者死亡)の損害賠償請求訴訟で和解しました」
弁護士 喜 田 崇 之
【はじめに】
交通事故により亡くなられたXさん(当時69歳、女性)のご遺族の方々が、慰謝料等の損害賠償請求訴訟を提起したところ、和解解決を勝ち取りました。
【事案の概要】
Xさんは、2014年1月、自転車を押しながら自宅近くの道路を歩行していたところ、普通自動車に引かれる交通事故に遭われ、即死されました。
当初、事故の相手方の保険会社は、Xさんが自転車に乗車して突然飛び出してきたことを理由に、大幅な過失相殺をした上で示談金の提案をしました。Xさんが亡くなられ、事故態様を証言することはできず、相手の運転手の供述をもとに事故態様を理解していましたが、Xさんのご遺族の方々はこのことに疑問に感じていました。
そこで、弁護士喜田がXさんのご遺族の代理人に就任し、2014年11月、事故の相手方に対し、損害賠償請求訴訟を提起しました。
【裁判の進行】
裁判の中でも、被告は、Xさんが自転車に乗車して突然飛び出してきたことを理由に、大幅な過失相殺の主張をしました。
我々は、飛び出したと主張されている道路の手前に少し登り坂があり、高齢のXさんは普段から自転車を押して歩いていたこと(つまり自転車に乗車して飛び出してくるはずがないこと)、事故の態様(自転車や自動車の破損状況、Xさんが撥ね飛ばされた状況)等から、被告側の事故態様の主張が不自然であることなどを主張・立証しました。
そうしたところ、裁判所から和解の勧告がなされ、Xさん側の主張を十分に汲んだ内容の和解が成立しました。
【最後に】
とりわけ死亡事故の場合、事故態様の供述を得ることができませんので、ややもすると、保険会社は、事故の相手方の供述に沿った事故態様をもとに過失相殺を勘案し、示談金を提案することがあります。
このような場合には、事故の痕跡から客観的な事故態様を詳細に検討することが大切です。10%の過失の違いでも、死亡事故の場合には特に損害額に大きく反映されることになりますので、保険会社も大きく過失相殺を主張することがあります。また、保険会社からの示談案は、裁判所の基準よりも金額が低い保険会社基準で提案されていることがほとんどですので、保険会社から示談案が出た場合には、専門家の検討が必要不可欠です。
最後になりますが、Xさんのご冥福をお祈り申し上げます。