低すぎる子どもの養育費
夫婦が離婚するときの未成年の子どもについては、夫か妻かどちらか一方が子どもの親権者となり監護します。
他方の配偶者は子どもの養育費を支払います。
養育費の額が夫婦間で争いになったとき、養育費の額はどういう風に算定して決定するのでしょうか。
現在は、東京・大阪養育費等研究会の「簡易迅速な養育費等の算定を目指して-養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案-」(判例タイムズ1111号285頁)で提案された「簡易算定方式」とこれに基づく「簡易算定表」によっています。
この養育費算定表は裁判所サイトで掲載されています。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/
縦軸を義務者の年収、横軸を権利者の収入として交差するところが養育費になるとされており、両者の年収が分かれば養育費の額を算定することができ、現在の家庭裁判所における実務はほぼこの算定表により運用されています。平等に簡易迅速に養育費の額が算定できるという意義はありますが、個別事情について反映しづらく、額も低いです。
そこで、2016年11月15日付けで、日本弁護士連合会は新しい算定方式を提言しました。
従来の算定方法よりも、請求側の事情をより細分化して、額を1.5倍程度に増額するというものです。
日弁連「養育費・婚姻費用の新しい簡易な算定方式・算定表に関する提言」
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2016/161115_3.html
ただ、養育費については額だけでなく、日本における養育費の支払い実態は、離婚後の母子家庭で、養育費を支払ってもらっている割合は、約20%と言われおり、支払いの実効性という問題もあります。