遺族年金不支給決定への再審査請求が認められた
遺族年金不支給決定への再審査請求が認められた
~ 厚生労働省のコロナ対応はなってない ~ 弁護士 寺 沢 勝 子
遺族年金は死亡した人の配偶者で死亡時にその人によって生計を維持していた者に支給されます。この配偶者には事実上婚姻関係と同様の事情にあったものを含むとされています。
依頼者さんは、躁うつ病の夫とは夫の親が強く夫に求めたため離婚。しかし、離婚後も8年間ずっと交流を続け、元夫も生活費を振り込んできました。しかし、元夫が失業したため、「仕事につけるまでは仕送りは中断してもいいよ。」と言ったので半年仕送りを中断したけれど、仕事も見つかり50万円を振り込んできたのに元夫はその半年後に自殺してしまいました。依頼者さんは元夫によって「生計を維持した事実上婚姻関係と同様の状態にあった。」として遺族年金を申請しましたが、不支給決定がされ、審査請求も棄却され、再審査請求をしたのです。 子どもと一緒に家族で旅行している写真や元夫とのライン、振込みがされた通帳を証拠として提出し、躁うつ病の夫(元夫)とどう向き合い、支えてきたかを立証し、再審査請求は認められ、不支給決定は取り消されました。依頼者さんの苦労を考えると社会保険審査会の裁決は、「よかった、よかった。」なのです。が、厚生労働省のコロナへの対応には言いたいことがあります。
公開審理の呼出状が届きましたが、緊急事態宣言のもと「東京には来るな!」と言っている真っ最中の呼び出しで、「来なくてもいいよ。」とはなっていますが、再審査を申し立てている以上、行って事実を述べたいのです。
行ってみると、まず、厚労省の庁舎に入る前に、門のところにガードマンが2人いて検問があります。ここを通過すると庁舎の入り口で、呼出状と身分証明書を示し、紙に住所氏名を書き、首からつるす通行証をもらいます。(ボールペンを消毒している様子はなく、通行証も使用後使いまわしているよう)自動改札機に通行証を当てると通過でき、エレベーターホールへ進めます。エレベーターの前には消毒液が置かれています。 社会保険審査会のある階に行き調整室(この部屋の前にも消毒液が置いてあります。)に行って用意した意見書・陳述書15部づつを渡し、来室したことを言うと控室で待つように言われます。控室は細長くて狭く窓もなく、待っているのが3組(代理人ともで6人)だったので、マスクをしているとはいえ密です。それぞれが打ち合わせをしていて、「すみません。」と言って椅子から立ってよけてもらって後ろを通るのがやっとで、そうしないと控室から出てトイレにも審理室にも行けません。
審理室には審査長と審査員2人,参与4人、事務局と録音係に私達請求人と請求人代理人。向かいには保険者(厚労省の役人)がなんと5人もぎゅうぎゅう詰めに座っているではありませんか。そのうちの1人が「意見書のとおりです。」と言うだけなのに。ほかの4人は何のために座っているのか。参与の4人がそれぞれ、自分の言葉で認めるべきと言ってくれたのとは対照的でした。審理室はドアが閉められており換気がされている様子はなし。(別の審査請求事件ではコロナ対応を理由に決定を3ケ月も延ばされたのに厚労省の役人が5人もいる必要はありません。)
帰りは、通行証を自動改札機に当てて通過し、係の人の袋に通行証を入れて返します。
セキュリティにばかり気を使い、国民が来るのはアンウエルカムな役所、厚労省。9月にはコロナウイルスの感染者の総数が160万人を超えている。厚労省は何をしているのと思います。