18歳から選挙に参加できるようになりました
18歳から選挙に参加できるようになりました
弁護士 河村 学
1 18歳からの選挙権
昨年、公職選挙法等が改正され、満18歳、19歳の方も選挙等ができることになりました。もちろん選挙運動も行うことができます。対象となる選挙は、国政選挙・地方選挙だけでなく、最高裁判官裁判官の国民審査、住民投票なども含まれます。
何時から選挙ができるのかについては、ややこしい定めがなされていますが、おおざっぱにいえば、この改正法が施行される今年6月19日以後に初めて行われる国政選挙の公示日からということになります。
この夏には参議院議員選挙があるので、おそらくこれが最初に参加する選挙となりそうです。
2 18,19歳の世論調査
新聞各紙は、この改正を受けて、18,19歳を対象に世論調査を実施しました。4月8日に行われた朝日新聞の世論調査では、興味深い結果が出ています。
まず、憲法やその平和主義に関する思いは強いということです。調査では、憲法9条を変えないほうがよい(74%)、今の憲法はよい憲法(59%)、変える必要はない(57%)など、憲法を擁護し、平和を求める声が大きいという結果が出ています。ただ、集団的自衛権行使容認・安全保障関連法については、賛成41%・反対50%でした。
また、政治や社会に対する不信感が強く、希望が持てない社会になっているという認識も強く現れました。例えば、政治家は若い人たちのことを考えて政治しているとは思わない(80%)、若い人たちが自立しにくい社会だと思う(82%)、年金制度は自分の老後のあてにならない(76%)、などです。
貧富の格差について、今の社会は努力しても報われない社会(56%)、今の格差は行き過ぎ(59%)などが多数を占め、また、格差があるのは社会の仕組みによる面が大きい(59%)が、本人の努力による面が大きい(34%)を上回ったことも特徴的でした。社会の矛盾を体感し、多くの若い人たちが今の政治や社会のあり方に問題があるとみているようです。
一方で、今の政治や夏の参議院議員選挙には「あまり関心がない」「全く関心がない」(併せて58%)、若い人たちのデモに共感できない(48%。共感できるが41%)、一票に政治を動かす力はない(53%)など、社会に矛盾や問題を感じながらも、自らの力で変えていくという意見が少ないことも気になりました。
3 自らの未来を自らの手で
若い人たちも、現在の政治や社会の矛盾を感じており、自由で平和な世の中を望んでいます。現在の若者の未来を閉ざそうとする政治や社会のあり方には批判的意見を持つ人がかなりいるといえるでしょう。
ただ、それが実際の政治的行動に結びついていないという現実があります。先の世論調査では、仮に今、投票するとすればどこに投票するかという質問では、46%が自民党と答えていますが、今の安倍政治が現実に進めているのは、憲法9条を含め憲法を変えて日本を海外で戦争する国にしようとしたり、大企業を優遇する一方、社会保障を切り捨て、格差を広げたり、若い人たちに対して、労働者派遣をはじめとする使い捨て労働や、保育・介護職・サービス業などの低賃金労働を強いたりするというものです。安倍政治は、若い人たちの思いとは真逆の施策を進めているのです。
若い人たちが現に置かれている状態、実際に体験している事実と、安倍政治とのつながりを十分に知らせ、若い人たちの選挙をはじめとする政治的行動につなげることがとても大切です。
先の世論調査では、自分のことを大人だと思わない(83%)、選挙について自分でしっかりと判断できるという自信がない(68%)など、選挙権が与えられることに対する不安も大きいことが示されました。
しかし、選挙は、自らの自由で平和な人生を楽しむため、そのような社会を子どもたちに手渡すための重要な手段です。周りの人に流されず、見聞を広げ、自分の感性や周囲の人を思う気持ちを頼りに、選挙に参加して欲しいと思います。