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格差と貧困

2016-10-13

日本の格差と貧困について          上山 勤
2016/10

1、 格差と貧困が広がっている。かつては、経済が発展すれば、企業がもうかり、そのおこぼれで労働者の取り分も増えるのだ、と言われた時があった。トリクルダウンと言うそうだ。安倍さんは、アベノミクスで日本の経済を立て直す、と言う。然し、この間の推移をみると、大企業は大いに儲かっているが、労働者の賃金は下がりっぱなしであり、一向に恩恵が下々の方まで降りてこない。

2、 日本はとても悲惨な状況にある。
○1 警察庁の平成20年から23年の間における自殺者の概要は、
毎年、3万人を超える自殺者が報告されている。震災関連を含む。
○2 厚生労働省 人口動態調査によれば
毎年、80人前後の餓死者が報告されている。 (特に1995年以降)
世界第三位の経済力のあるはずの国でこれは一体、どういうことだろう。
北九州の餓死の例・札幌の母子家庭の自殺者の例、千葉県の母親の娘殺しの例など実例を上げればきりがない。
○3 OECD(国際経済開発協力機構) の 『ワーキングレポート22』によれば
貧困とは、その国の世帯所得を順次高い所から並べて行って、ちょうど真ん中の位置にある書体の所得の半分より下の所得しかない所帯を貧困所帯と定義、その人たちの国の中で閉める割合を求めて貧困率としている。B;㎡較差の広がりを測る一つの尺度になるものだ。
日本は、世界の先進国24ケ国の中でワースト4位の15.3% (米国は2位で17.1%)
この割合は、90年代の半ば以降急速に増加しており、日本の中でこの時期以降、階層分化が進行していること、多くの貧乏人が作り出されていることを意味している。
その結果→(1)  自殺者の増加
(2) ホームレスの増加
(3) 多重債務者の増加
(4) 医療を受けられない人の増加・・・・・・が現実の姿となってきている。
○4 分析  貧困の原因について・・OECDの分析では広範な低賃金層の存在が理由である。
☞ 他国の場合の貧困所帯はいずれも第一位が失業者、日本の場合違うのだ。
貧困所帯の4割が共働き、3割が一人働き、 無就労者は1割に過ぎない。つまり一生懸命働いても働いても貧困だという姿が浮かび上がってくる。
ワーキングプアーゆえの貧困である。
子供の貧困率は16.3%であり6人に一人が、貧困の中にいる。他方で、純金融資産が5億円以上の(超富裕層)、1~5億円の(富裕層)は、4900万世帯の中で5.2万世帯(0.1%)、と81.3万世帯(1.6%)であり超富裕層と富裕層の合計は1.7%に過ぎないのに資産総額は213兆円に上り、全体の18.5%にも及ぶ。
☞ ワーキングプアーや下流老人と対極にこれらのスーパーリッチがいるのだ。
☞ 貯蓄なしの世帯は       1997年 ⇒ 2014年 金融広報中央委員会
10.2% ⇒ 30.1%
生活が苦しい は2010年 ⇒2015年   厚労省
59.4% ⇒ 62.4%
労働者の給与 は2012年 ⇒2015年   厚労省
26.7万 ⇒ 26.6万/月
(アベノミクスの下で実質賃金は5%減った)
非正規労働者 は1990年 ⇒2016年(2月)
881万 ⇒2015万人 と急増
外国の場合、貧困所帯の第一位は失業者。ところが日本の場合、貧困所帯の4割が共働き・3割が一人働き、無就労者は1割に過ぎない。

3、実は、世界的な傾向でもある。
格差の拡大は、世界的な傾向でもある。2015年の時点で世界で最も豊かな人1%
が保有する資産は残り、99%の人の資産を上回った。62人の富豪の資産が32億
人の資産合計を上回ったのである。・・(国際援助団体オックスファム)
この数字が、わずか5年前2010年には388人だったことが事態の深刻さを示し
ている。
一方で、2015年には、世界人口の貧しい半分の総資産額は、2010年と比較して
1兆ドル、41%減少。同時期に世界人口は4億人増加。世界の資産保有額上位62
人の資産は、2010年以降の5年間で44%増加し、1.76兆ドルに達したとされる。
男女の格差も顕著で、世界で最も裕福な62人のうち男性は53人。女性は9人に過ぎない。

4、経済政策としては、新自由主義と呼ばれる政策であるが、思想的には人間に対する不信が中心にある。人には依存的体質(クライアンティズム)があり、まっとうな自立した人間のみならず半人前の厄介者もいる。これを乗り越えるには、自己責任・家族責任を強調し育成するようなインセンティブシステムを作り上げる必要があるという哲学である。ここから、自己責任の強調と競争原理の強調が主張される。生活保護バッシング、社会保障の切り捨てと社会保険化、障害者の否定といった風潮はここから発している。
以  上

カテゴリー: くらし 

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