家主から家賃の値上げを求められたら
2016-11-01
Q.家主から家賃の値上げを求められています。どの対応したらよいでしょうか
A. 借地借家法は、建物の賃貸借に伴う賃料の増額、減額について、「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、または近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は将来に向かって建物の借賃の増減を請求することができる。」と定めています(借地借家法32条1項)。
家賃値上げの理由は、⓵固定資産税や都市計画税等の負担、⓶土地や建物価格の増減、⓷近隣の同種建物の賃料の増減となっていますので、家賃値上げの請求を受けた場合、このような事情があるのかどうかを確認する必要があります。
家主が年月がたったからという理由だけで値上げを請求することもありますが、前の合意家賃が高いと高めに推移しがちですし、逆に前が安かったときは低めに推移することになりがちです。ですから、その期間に、何か事情が変化したのか確認する必要があります。
これらの事情を確認した上で値上げが正当と判断した場合は、値上げに合意をすることになります。値上げが高すぎるし、事情もないし、応じられない場合は、値上げを拒否し、とりあえず「相当と認める賃料」を支払うことになります。よくあるのは、従来通りの家賃の支払いを続け、増額の裁判が確定したときに差額と利息を支払います。
当事者で話し合いがつかない時は、裁判所の調停に進むことになります。
弁護士 井上直行