わが街 わがふるさと 軍艦アパート 大阪市浪速区
わが街 わがふるさと 軍艦アパート 大阪市浪速区 弁護士井上直行
１、天王寺駅から通天閣を見ながら、北へすすむこと、約１５分。ここは大阪市浪速区日東地区です。私は愛染橋病院の玄関の前に立ちました。
はじめてここに立ったのは、今から３０年まえのことでした。３０年前私は大阪市立大学の学生でした。学生セツルメント活動で、この南側にそびえる軍艦アパートに通っていました。
２、軍艦アパートというのは、愛染橋病院の南北に建つ、大阪市営南日東住宅と北日東住宅のことです。昭和初期に、日本初の公営鉄筋コンクリートアパートにして建てられました。耐震耐火構造の堂々たる造、各戸に専用の炊事場、水洗便所、水道、ガスを設けた当時最新のアパートで、大阪大空襲にも耐えてきたアパートです。
ここが私たちの学生セツルメント活動の地域でした。
３、そもそも この日東地域には、大正時代に、キリスト教人道精神にもとづく防貧活動の拠点として、夜学校・職業紹介所・保育所がつくられました。これを愛染園セツルメントといいます。
近くの夕陽ヶ丘には、大原社会問題研究所も設立されました。これらを設立したのは、石井十次（日本の孤児の父と称される社会事業活動家）の影響をうけた大原孫三郎（倉敷紡績社長）です。
第２次世界大戦後、大阪市立大学の社会福祉系学生が愛染園セツルメントにボランティ
アとして参加します。学生たちが、後の独立して、学生セツルメント「日東セツルメント」になりました。
４、日東セツルメントの活動は、子ども会活動・健康診断の補助などの保健活動・中学生高校生学習援助活動・高齢者援助活動などでした。私は週１回子ども会活動で通いました。
私の第二のふるさとです。
５、南北日東住宅は２０００年に惜しくも解体されました。写真は同時期に建てられた大阪市営下寺住宅です。規模はすこし小さいですが、軍艦アパートの面影を今も見ることができます。
