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覇権か、生存か―アメリカの世界戦略と人類の未来

2007-05-12

覇権か、生存か―アメリカの世界戦略と人類の未来 (集英社新書)
弁護士 上山 勤

主権(しゅけん)在民(ざいみん)・基本的(きほんてき)人権(じんけん)の尊重(そんちょう)・そして平和(へいわ)主義(しゅぎ)。

この三つが憲法の柱と言われています。いろんな人権保障の規定を全部あわせたのと同じぐらい重みのある大切な決まりが平和主義をうたう9条です。国どうしの紛争の解決は話し合いで行い、武力を用いない。戦力は持たないし、いくさをする権利を認めない。という内容ですが、いまこの決まりを変えてしまおうという動きがあります。

戦後の政治の流れの中で、憲法のこの決まりほど議論を呼んできたものはありません。『軍隊は持たない』はずなのにどうして自衛隊があるの?と子どもに聞かれてちゃんと説明できる親や先生が何人いるでしょうか。現実と理念がかけ離れている感じがします。ここには憲法や法律といった社会の決まりごとのもつ本質的な問題が隠れています。ルールは誰かが破れば厳しくとがめられます。でも社会の大部分の人がこれを破ればルールはすでに死んでいるのです。つまり、社会のルールは実は国民の多くに支持されていることが生きている前提なのです。9条はどうなのか。政府は変えてしまえ!と言っていますが私は変えてはいけないと思っています。戦争は酷く悲惨なものだからです。あの、太平洋戦争で得をした人はごく一部の人で大多数の国民は大変辛い経験をしたはずです。

ここに『平和へのねがい・・裁判にかける私の思い』という本があります。イラク派兵差止訴訟の当事者356名の陳述書集です(すすめる会発行)。戦争をしないはずの日本から武装した陸上自衛隊が戦後初めて、イラクまで行った。現在は航空自衛隊が武装米兵や武器弾薬を輸送しています。憲法違反だ!と訴えている裁判です。なし崩しで9条を変えるな!というわけです。戦争はアカンという声を社会の多数のままにしておきたいから目の前でおきている「派兵」という現実(ごり押し)に反対して起こされました。ひとりひとりの戦争体験、焼夷弾の雨の中を逃げ回ったこと・地獄であった被爆の体験・苦しかった引き揚げ・ひもじかった疎開生活など涙なしには読み通すことのできない陳述書集です。自分の人生をかけて平和のための教育をしてきた先生達や不安におののく障害者の方達の搾り出すような声もつづられています。ぜひ、多くの人に読んでいただきたいと思います。

なしくずし的な事実の積み重ねの次に予定されているのが、9条を変えてしまえ!という動きなのです。安部内閣は在任中にやってしまうと公言しています。どのように実現を図るか。嘘の宣伝を大量に繰り返す、これがいま流行のブッシュ流世論操作法です。例えばイラク戦争では結局大量破壊兵器もなかったし、テロリストとフセインさんとの繋がりもなかった。でもブッシュさんは戦争を始めるちょうど半年前からフセインは9.11と関係があるし再びテロを起こす恐れがあると宣伝しました。政府のマスコミ発表などを利用してあらゆる機会にこれをやったのです。半年後、フセインを政府の宣伝どおりの危険な人物だと信じた米国民は半数に及んだそうです。

こんな奴はやっつけろと、宣戦布告もない攻撃が行われたのでした。(いかに米国が身勝手な存在で国際法を踏みにじっているのかについては『覇権か、生存か』(集英社新書、ノーム・チョムスキー作)が克明に暴いています。安部さんも必ずまねをします。騙して多数を握られないように、イラク戦争に反対し9条を大切にする仲間を増やしませんか。もちろんのこと、国会でもそのような勢力が大きく前進するように。

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カテゴリー: 平和 

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